【ジャンル別】おすすめラノベ・ライト文芸・新文芸

　表紙がイラストで、読みやすい文体が特徴のライトノベル・ライト文芸（キャラ文芸・キャラクター文芸・キャラノベ・大人向けライトノベル・キャラクター小説とも）・新文芸。中高生向けの作品から大人向けの作品まで、ターゲットが幅広く、ミステリー、ファンタジー、恋愛などの要素を包括的に含んでいることから、人気が高い小説分類となっています。

　今回は、その中から実際に読んでみて、みなさんにも「ぜひ読んでほしい」と思った作品を厳選して紹介します。

1　ライトノベル（恋愛）

1．継母の連れ子が元カノだった

出版社：KADOKAWA

レーベル：角川スニーカー文庫

ジャンル：恋愛・ラブコメ

著：紙城 境介 

　略称は「連れカノ」。中学卒業を機にけんか別れしたカップルが、親同士の再婚で、義理のきょうだいになり、同居する話です。TVアニメの2022年内の放送も決まっていて、PVの再生回数は公開から1週間で100万回を超える人気ぶり。累計発行部数も50万部を突破の人気作。

　ライトノベルの中でも文体が軽く、漫画のようにサクサク読むことができます。登場するキャラクターそれぞれの一人称視点で描かれていて、各人物のキャラクターの心情がわかりやすいです。お互い好き合っているのに、なかなか素直になれない二人の様子は読んでいて、もどかしくもあり、時々近づく距離感に幸せにもなります。

人物の考えや感情が詳細に分かるというアニメや漫画にはない特性と「継母の連れ子が元カノだった」という舞台設定をここまで最大限に生かした作品は他にないでしょう。

　水斗や結女、友達などたくさんの人の視点からの描写があり、登場人物一人ひとりの考えがこの物語を形作り、進めています。元カップルであると同時に家族であることから恋愛の難しさに悩み、考える過程は哲学的でもあります。

　イラストも綺麗で、最高のラブコメライトノベルと言っても過言ではないでしょう。

2．三角の距離は限りないゼロ

出版社：KADOKAWA

レーベル：電撃文庫

ジャンル：恋愛・ラブコメ

著：岬 鷺宮

　主人公ー矢野四季ーと二重人格の女の子ー水瀬秋玻/春珂ーとの三角関係の恋を描いた物語。

　連れカノが軽めのラブコメだったのに対して、こちらは少し重めです。物語は矢野四季の一人称視点で展開されていきます。二重人格、三角関係と設定が重い上に、思春期や大きな進路選択の板挟みなる高校2年生が主人公ということもあり、繊細な感情描写が特徴です。少しシリアスな恋愛小説を読みたい方にはおすすめです。

3．冴えない彼女の育てかた

出版社：KADOKAWA

レーベル：ファンタジア文庫

ジャンル：恋愛・ラブコメ

著：丸戸 史明

　主人公・安芸倫也が同人ゲーム制作サークル”blessing software”を立ち上げ、加藤恵をヒロインとした、最強のギャルゲーを作ると言うのが本作の主軸となっています。

　仲間とすれ違いながらも、なんとかゲームを完成させるが、完璧な形での販売には至らず、リベンジを決めるが、その矢先にまた問題が発生し･･････。

　道筋は王道のラブコメのように思えますが、作る側である”クリエイター”の世界を舞台にしていることもあり、他のライトノベルとは違った面白さがあります。メタネタが多いこともその一つかな。

　また、原作ラノベもさることながら、テレビアニメと劇場版アニメも素晴らしいです。テレビアニメ2期と劇場版アニメ1本に圧縮されているので、端折られた部分は多いですが、それを差し引いても最高だと言えます。劇場版アニメでは、原作で描かれなかった”その後”のストーリーが描かれています。感動しました。文句の付け所がないエンドです。

2　ライトノベル（バトル）

4．ソードアート・オンライン

出版社：KADOKAWA

レーベル：電撃文庫

ジャンル：アクション・バトル・恋愛・SF・ファンタジー

著：川原 礫

　王道のバトルファンタジー系小説です。プレイヤーが現実から切り離され、完全にVRの世界に入れる”フルダイブ”技術を利用した、オンラインゲームが舞台です。累計発行部数は2600万部を超え、小説だけならトップの数字であると言われています。今までにテレビアニメ3期（8クール）と映画が2作、特番1話が放送れている世界的な大人気作です。

ゲーム内での死（ゲームオーバー）＝現実での死

”これはゲームであっても遊びではない”というゲーム開発者の言葉通りのデスゲーム。現実に生還するための条件はゲームクリア。100層ある城を1層ごとにボスモンスターを倒しながら攻略しなければなりません。

主人公キリトは、ゲームを最前線で攻略する者、通称”攻略組”のトッププレイヤーとして最前線で戦い、ゲームクリアを目指しています。その中で、ゲーム内で殺人を働く者”レッドプレイヤー”と戦ったり、恋をしたり、釣りをしたりとデスゲームでもつらいことだけでなく、楽しいことも経験し、閉鎖的な主人公が変わっていくそんな物語です。

筆者がおすすめするライトノベルNo.1です。

5．七つの魔剣が支配する

出版社：KADOKAWA

レーベル：電撃文庫

ジャンル：アクション・バトル・ダークファンタジー

著：宇野 朴人

　学園バトルファンタジー系小説です。ハリーポッターに似た世界観で、臨場的な戦闘描写とシリアスな空気が特徴です。「このライトノベルがすごい！2020」W1位を獲得した、注目作品です。

　舞台はキンバリー魔法学校です。高度な魔法、剣を学べる名門校でありながら、常に死と隣り合わせです。

　主人公のオリバー・ホーンは、表では、友人とともに魔法と剣で校内に蔓延る魔物と戦い、勉学に励み、裏では母の敵を討つべく、キンバリー教師陣を暗殺していくという二面性を持った人です。

　また、よくある転生系や最強系の小説に飽きたという方にはおすすめです。オリバーは強いですが、大きな犠牲を払っての強さですし、器用貧乏なタイプで、分野を絞れば、オリバーを超越する人は多いです。学校の上級生も下級生のオリバーとは桁違いの強さです。

　あと、絵がとてもきれいです。ライトノベルで絵は重要ですからね。

6．ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり

出版社：アルファポリス

レーベル：アルファライト文庫

ジャンル：アクション・バトル・ファンタジー・異世界

著：柳内 たくみ

3　ライトノベル（コメディ）

7．この素晴らしい世界に祝福を！

出版社：KADOKAWA

レーベル：角川スニーカー文庫

ジャンル：バトル・コメディ・恋愛・異世界・ファンタジー

著：暁 なつめ

　異世界転生コメディ小説です。コメディというだけあり、笑いどころがとても多いです。引きこもりニート（ヒキニート）の主人公カズマと頭のおかしい魔法使いの娘、変態クルセイダー、年齢不詳アホ女神という濃いメンツで魔王軍を倒すという話です。カズマの一人称視点で描かれることが多く、文体も軽いので読みやすいです。

ギャグ要素全振りといった感じで、テンポがよく、大きなネタも多いですが、小さなネタもたくさん入っています。主人公がパンツを盗んだり、ダンジョンにパーティーメンバーを放棄しようとしたり・・・

殺伐とした雰囲気は一切なく、純粋に楽しめるライトノベルです。

　また、この作品は完結済みです。テンポが良く、どこまでも引き延ばすライトノベルよりも読み切ったときの満足感が大きいです。

　書き下ろしストーリーも公開されています。

8．這いよれ！ニャル子さん

出版社：SBクリエイティブ

レーベル：GA文庫

ジャンル：バトル・コメディ・恋愛・ファンタジー・SF

著：逢空 万太

　純粋なラヴコメディです。宇宙から地球と主人公の八坂真尋を守るべくやってきた、宇宙連合の公務員であるニャルラトホテプ､クトゥグア、ハスターたちがあの手この手で真尋にアプローチをかけつつ地球を守るお話です。

　著者曰くこれは「ラヴクラフトコメディ」です。そう言われるだけラヴクラフトのネタが多く詰まっています。もちろんそれ以外のパロディや大小のネタが散りばめられています。「連れカノ」と同じように、アニメや本の知識が多ければ多いほど楽しめると思います。

3　ライト文芸

9．僕が愛したすべての君へ/君を愛したひとりの僕へ

出版社：早川書房

レーベル：ハヤカワ文庫JA

ジャンル：恋愛・SF・ミステリー

著：乙野 四方字

　「僕が愛したすべての君へ」「君を愛したひとりの僕へ」2冊同時刊行され、どちらから読んでも話がつながるという面白いからくりの本。2022年にアニメ映画化も決定しています。

　どちらの本も、人々が日常的に平行世界の間を無意識に往来していることが証明された世界が舞台。技術は発展し任意の平行世界へ移動することが可能になった。

　主人公高崎暦の思い人の佐藤栞はある日、平行世界への移動が原因で死んでしまう。彼女が不幸にならない世界は果たして存在するのだろうか？（「君を愛したひとり僕へ」）

　暦はある日瀧川和音と出会う。彼女は85番目の平行世界からやってきたという。果たして平行世界の自分は自分なのだろうか？（「僕が愛したすべての君へ」

　どちらから読んでもいいが、「どちらから読む方がいいか」と聞かれたら、私は「悩んだなら『君を愛したひとり僕へ』から読んだ方がいい」と答えます。なぜなら、「君を愛したひとり僕へ」の方が平行世界とその関連技術についての説明がしっかりなされているからです。

　よく「幸せな物語がいいなら『君を愛したひとり僕へ』から、切ない物語がいいなら『僕が愛したすべての君へ』から読むべき」と言われますが、そこに絶対的なこだわりがないのであれば、「君を愛したひとり僕へ」から読むことをオススメします。

10．サクラダリセット

出版社：KADOKAWA

レーベル：角川文庫

ジャンル：恋愛・SF・ミステリー・ファンタジー

著：河野 裕

　能力者が集う町”咲良田”に住む主人公浅井ケイは、経験したことを絶対に忘れない「記憶保持」の能力を、春埼美空は、世界を最大3日間巻き戻す「リセット」の能力を持つ。ケイたちは公的機関である管理局の傘下にある「奉仕クラブ」で、能力を使いながら依頼をこなす。ある日、事件の発端となる「猫を助けてほしい」と言う依頼をされ、情報を集めているうちに奇妙なことに気づくが、春埼の能力の都合もあり、やむなくリセットをする。しかし、リセット前には起こらなかった事件が起こってしまう。

　青春とミステリーの要素が合わさった物語で、複雑に事象が絡み合った謎が最後には、ドミノが倒れるように次々と解け、事件がつながっていく展開に誰もが引き込まれることでしょう。さすが河野ワールド。

11．ぼくらの7日間戦争

出版社：KADOKAWA

レーベル：角川文庫

ジャンル：恋愛

著：伊豆 平成（原作：宗田 理）

　世代を超えてもなお人気の名作「ぼくらの七日間戦争（著：宗田理）」の現代版。2019年末にアニメ映画として放映され幅広い世代からの注目を集めた「映画 僕らの7日間戦争」をノベライズしたものです。

　原作では東京下町を舞台に、主人公の菊地英治をはじめとした中学1年生が廃工場に立てこもり、大人たちに一泡吹かせる話ですが、この作品は北海道を舞台に、主人公の鈴原守をはじめとした高校２年生が廃工場の立てこもって大人たちに一泡吹かせる話となっています。

　内容は現代版として大きく改編されていて、入管と不法滞在者であったりSNSであったりジェンダーであったりと現代における社会問題が浮き彫りにされています。それでも、仲間割れの窮地を乗り越え大人たちに一矢報いるというのは変わらず、爽快感を与えてくれます。

4　新文芸

12．無職転生 ～異世界行ったら本気出す～

出版社：KADOKAWA

レーベル：MFブックス

ジャンル：恋愛・異世界転生・バトル・ファンタジー

著：理不尽な孫の手

  引きこもりのニートだった男が、剣と魔法のファンタジー世界に転生し「今度こそ」と本気を出して生きていく物語です。

　タイトルからもあらすじからも、「よくある転生系かぁ」と思われがちですが、全然違います！

　この本のすごいところは、ひとりの男の人生を描き切ったことでしょう。転生してから、ルーデウスとして生きていくひとりの男の人生はあまりにも濃密で、切なくて、幸せで、感動することでしょう。生後から死まで描いていることもあり、物語は長大です（とある魔術の禁書目録ほどじゃないです）が、ぐだることがなく、一度読み始めれば、読み切るまでページをめくる手が止まりません。

　物語はルーデウスが幼年期のときに、魔力災害「フィットア領転移事件」により山場を迎えます。その影響でルーデウスは領主の孫娘エリスとともに、人の住まない魔大陸に飛ばされてしまいます。そこから、家族と再会するために旅をしていきます。

　中盤では自分も家庭を持ち、前世でできなかったことを成し遂げ、幸せな生活となりますが、長くは続かず、家族の命はヒトガミ（人神）に狙われます。その手から家族を守るべく、ルーデウスは神に戦いを挑んでいきます。

　ルーデウスはとても強いですが、それ以上に強い敵と戦い続け、強くなるために努力もし続けます。単なる主人公最強系ではないです。

　アニメ化もしていて、2021年12月19日に1期2クールの最終話が放送されました。スタジオバインドが描く作画は評価が高く、神作画と呼ばれる名シーンはいくつも存在します。2期を望む声も多く、期待されています。

最後にYouTubeにあったMADを貼り付けておきます。本編ターニングポイント4のネタバレになりますので、そこまで読んでから見ることをオススメします。本編を読んでからこれを見ると感動します。